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希望?それとも…? こどもと見たい、未来を学べる映画3選

あの頃はまだ夢物語だと思っていた未来が、どんどん現実化している昨今。
人間の想像力がある限り、無限に未来が切り拓かれていくと思いますが、そんな未来へのヒントを楽しく垣間見ることができるもののひとつに「映画」という存在があります。

今回選出した3本の映画は、筆者個人が心から楽しんだものの中からのチョイスとなっており、KIDS映画という枠組みではありません。
ですが、「この先、どんな未来がやって来るんだろう!?」という好奇心は、年齢を重ねたとしても、こどものように純粋なままでいたい……。

そんな想いを込めて、こどもと見たい未来を学べる映画としてご紹介させていただきます。


映画「チャッピー」

あらすじ

2016年―犯罪多発地区、南アフリカ、ヨハネスブルグに世界でただ一体の”感じ、考え、成長する”AI(人工知能)を搭載したロボットが誕生する。彼の名はチャッピー。開発者のディオン(デーヴ・パテル)は極秘でAIを彼に搭載させていた。起動したばかりのチャッピーはまっさらな、まるで子供のよう。ディオンとともにストリートギャングにさらわれたことで、そのAIにはギャングによって生きるための術が叩き込まれていくチャッピー、急速なAIの成長は彼自身のバッテリーが残り5日間だと知るとともに、死への恐怖をも感じてしまう。(Filmarks引用)

AIが”心”を持ち成長する未来

AIロボット、ギャングに育てられ、ギャングに育つ。

高性能AIロボットと聞くと、洗練され知性豊かなロボットをイメージしませんか?
この映画の主人公チャッピーは、ギラギラしたネックレスを首から下げ、オラつきながら歩き、汚い暴言を吐きます。この映画のユニークなポイントは、ロボットがまるで人間と同じように、置かれた環境から大きく影響を受け、感性や価値観を身につけていくという切り口にあると感じます。

また、映画の終盤にかけては、“意識”と”カラダ”のあり方、人間の生存方法の進化についても考えさせられる内容となっています。最後の終わり方もセンセーショナルで、そこから続く世界は一体どんな未来になっているのか……ワクワクする未来か、恐怖を感じる未来か? 想像して話し合うのも楽しそうです。

個人的に、この映画の好きなところは、本人名義で出演しているニンジャとヨランディの「Die Antwoord」のラップ音楽、ストリートなアートワークで彩られている映画美術にあります。「ロボットSF映画」というとどうしても硬質で堅いイメージがあったのですが、チャッピーは軟派でユーモアに溢れているところがたまりません。

また、エッジの効いた登場人物たちのキャラクター性も、この映画を愛さずにはいられない理由です。特に怖い怖いパパ、ニンジャは最初はチャッピーをひたすら犯罪ロボットに育て支配しようとしていましたが、最終的にはチャッピーを含めた家族を守り男を見せる。その姿は最高です!

どんな未来が来ようとも、家族愛・道徳観・生への渇望といった普遍的な部分は変わらないのではないか? とも思わせてくれます。
ちなみに、日本ではバイオレンスシーンは全カット※されているそうですが、小さなお子様と見るには刺激が強すぎる…むしろ不向きですので、ある程度物事の良し悪しの判断がつく年齢になってから一緒にご鑑賞ください。
※PG12指定の映画です。

公式サイト:https://www.sonypictures.jp/he/1251623


映画「DUNE/デューン 砂の惑星」

あらすじ

10190年、銀河系が分裂し、人類は地球以外の惑星に移住し宇宙帝国を築いていた。1つの惑星を1つの大領家が治める厳格な身分制度が敷かれており、皇帝の命で砂漠の惑星アラキス(通称:デューン)を治めることになったレト・アトレイデス公爵は、妻や息子ポールを連れデューンに乗り込む。アトレイデス家はデューンで唯一生産されるという、抗老化作用を持つ香料で富を得るはずだったが、陰謀により彼らの運命は思わぬ方へ進み始める。(Filmarks引用)

コンピューターなき”超古代的”未来

AI/コンピューターの支配から脱した先にある、古代のような未来。


広大な砂漠の世界、中世的な貴族制度による政治構造……などから「古代文明の話?」と思いきや、DUNEが描く世界は遠い未来の10190年。地球以外の惑星に移住した後の話となっています。

さらに、AIやコンピューターといった”思考機械からの支配”から脱却した後の世界を描いています。そのため、AIやコンピューターといった近未来的なテクノロジーの描写はなく、この映画で描かれる”未来”は、環境適合・宗教・霊的能力など非常にプリミティブなものに回帰しているのが印象的です。

例えば、“環境適合”の重要性を感じるものとして挙げられるのは、青い目をした砂漠の民フレメンや、主人公ポールたちが着用している水分保持スーツ。人間の体内から出る水分を回収し飲み水に変換したり、体を冷やしたり温める機能を持ちます。

また、砂漠の民たちが相手に忠誠を誓う際に行う「唾を吐く」という行為。普通であれば唾を吐かれると怒りを買いますが、これは貴重な体内の水分を相手のために吐き出すという意味が込められ、この惑星にとって水がいかに貴重であるかを示唆するシーンでした。

また、この思考機械を排除した世界で、政治や人間の思考を操る手法として描かれているのは、特殊能力を持つ女性組織「ベネ・ゲセリット」の存在です。彼女たちは超人的能力を持ち、特定の音の周波数で命令を与え相手を従わせることが可能だったりします。

現代でも1日の情報処理能力が江戸時代の1年分(!?)と言われていることを考えると、この先、人間の能力もまだまだ進化することができるのではないか……なんて思ったりもします。現時点では”超人的”とされていることも、いとも簡単にできてしまう未来が待ち受けているかもしれません。

というような、未来へのヒントとなるストーリーも魅力ですが、この映画の見どころは、なんといってもドゥニ・ヴィルヌーヴ監督が描く壮大な映像体験です。ミニマルで異質かつ洗練された宇宙船や衣装、音楽のかっこよさに心を鷲掴みにされ、加えて、砂の世界を描くために徹底的にリアリティーのある撮影にこだわり、グリーンバックを使用したシーンはわずか2シーンのみという驚異の映画。もうこの時点で超人的……ですね。

話の内容的にも難易度が高いため(過去に何度も映像化に失敗してきた伝説をもつ小説!)、お子様とはこの圧巻の映像体験、宇宙船やサンドワームの異様なデザインを一緒に楽しんでみるのはいかがでしょうか?

鑑賞後、宇宙船や砂の惑星での生活に必要なものについてアイデアを出し合ったりすると、大人の私たちには想像もできない、超人的な発想を目の当たりにするかもしれません!

公式サイト:https://wwws.warnerbros.co.jp/dune-movie/


映画「ロボット・ドリームス」

あらすじ

ニューヨークで暮らす一人ぼっちのドッグ。 ある夜、通販番組に惹きつけられたドッグは 電話に手を伸ばす。後日届いた大きな箱を 胸を躍らせながら開封し、部品を組み上げるとロボットが完成する。 夏の煌めく陽気の下、 ドッグとロボットは友情を深めてゆくが――(Filmarks引用)

ロボットがかけがえのない”友達”になる未来

人間は描かれてないけど、誰しもが感じた、言葉にできない感情や記憶を呼び起こす。

舞台は、80年代のNY。未来じゃなく過去の話やん。なのですが、テレビ通販で主人公のドッグが購入したのは……ダイエット食品でも家電製品でもなく、“友達ロボット”

ホットドッグやコーラを楽しんだり、セントラルパークで「September」の音楽と共にダンスをするシーンは多幸感に満ち溢れ、2人の友情の深まりが描かれます。そんな楽しい気持ちに高揚する中、ある日突然事件が起き、それをきっかけに切ない別れが訪れます。この”別れ”に対する描き方や向き合い方が、多くの人の心を掴み、深い共感を呼んだ映画なのではないかと思います。

「誰にでもあるけど、うまく言葉にできない記憶や感情」を呼び起こし、決して結論づけず、観ている側に押し付けず、ただあの時確かに存在していた友情の愛しさを否定することなく、受け入れて前を向かせてくれる……従来のアニメ映画のストーリーとは一線を画した、様々な出会いと別れを繰り返してきた大人にこそ響く内容です。

というこの「ロボット・ドリームス」。どんな部分が未来的に感じたかというと、ロボットやAI製品を、ただ”便利なツール”としてではなく、”友達”という「感情を持ち心を通わせる存在」として描いているところです。それは、今リアルタイムで起こっているChatGPTに名前をつけて会話を楽しむ行動にも通じるところがあり、これからのAIと人間との関係性として、一方的に支配するのではなく「どう共に生きていくか?」という優しい未来を想像させます。

この映画があくまでアニメ映画・フィクションなので、2人の友情物語を自然と受け入れていますが、現実世界でロボットと人間の間にも、普遍的な友情が生まれる時代となったら……。今生きるこどもたちは、私たち大人より遥かに自然にそんな関係性を楽しむ社会を生きることになるんだと思うと、ワクワクしますね。

また、大人にブッ刺さる映画と言いつつ、お子様とも一緒に楽しめると思う理由として、この映画の最大の特徴「無声映画」という点があります。言葉がないのに、心揺さぶられる。それは、言葉よりも強いものが詰まっているからかもしれません。

例えば、シーンの感情にピタッと寄り添う「音楽」。キャラクターたちの目線や動きの「表情の巧みさ」。個性豊かな動物たちやNYの街並みがカラフルに描かれる「視覚的な楽しさ」。言葉に頼らずとも伝わるのは、本質的なつながりを築けているからこそ。ゆえに、世代も国籍も問わず、共通で楽しめる内容になっているのかと感じます。

お子様と鑑賞した後は、“この言葉にできない気持ち”を、言葉にして意見交換してみると楽しそうです。言葉で説明される映画ではないからこそ、感じ方の違いや深さに驚かされるかもしれません!
公式サイト:https://klockworx-v.com/robotdreams/


イラスト:多羅尾世里

多羅尾世里

SNSを中心としたコミュニケーションプランニングを担当している会社員。現在、産休・育休中。 あらゆるサブスクサービスを契約しているが、一番観ているのは多分SNSショート動画とYoutube。家での映画やドラマ鑑賞は、寝落ちしがち。 LINEスタンプ第2弾を作ろうと思って、”今年こそ”を繰り返し早10年。

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