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シリーズ : 2030年代の働き方 – 「医療と介護」

シリーズ2030年代の働き方では、さまざまなテーマでこれから現れる{かもしれない}職業に従事する未来人をご紹介します。この未来予報®︎を見て、未来の世界に思索をめぐらせてください。


テクノロジーと価値観の変化によって、“ケアの働き方”が大きく変わりつつあります。

AI診断、個人の健康データ、オンライン診療、メタバースでのコミュニケーション…。かつて医療や介護は“特別な現場”とされていましたが、今や私たちの生活のすぐそばに溶け込む存在となりました。

そして2032年。医療と介護を横断するような、全く新しい職業が次々に生まれています。

今回はその中から、ケアの未来を再定義する3人の専門家をご紹介します。

彼らは、「生きるを支える」ことを、テクノロジーと感性の両面から編みなおすプロフェッショナルです。

彼らは一体どのようなかたちで、2030年代のケア社会に貢献しているのでしょうか?

医療用ゲームで精神疾患患者の「楽しめる」リハビリを行う:ゲーム療法士

アビゲイル

ゲーム療法士


わたしの仕事は、様々な医療用ゲームを 活用して精神疾患や不安症等を治療する ことです。精神科医と連携し、ソフトを 選別。レベルを設定した上で、患者さん にプレイをしてもらうんです。 いまでは様々なゲームタイトルを発売し ています。キャラクターと一緒に自分の 過去を振り返るものや、スポーツゲーム のような内容で認知の歪みを直すもの等 様々出ているんですよ。 暗い雰囲気でカウンセリングをするだけ ではなく、明るい気持ちでゲームをしな がら治療ができるのは、ゲームが好きな わたし自身も最高に楽しくやっています。

「精神科に行くのが怖い?じゃあ、ゲームの世界で会いましょう。」

アビゲイルの仕事は、ゲームを通じて心のケアを行うこと。

不安症や軽度のうつ症状、ストレス性障害などに向けて、個別の症状や趣味嗜好に合わせて“処方”するゲームタイトルを選び、医師と連携してレベルやプレイ環境を設計します。

アビゲイルが推進してきたプロジェクトでは、

  • 自分の過去をキャラクターと一緒に旅するストーリーゲーム
  • スポーツアクションで“認知のゆがみ”を整えるVRフィットネス など、多様なアプローチが導入されています。

「心を閉ざした子どもが、ゲームの中の仲間との冒険で、自分の言葉を取り戻す。そんな場面に何度も立ち会ってきました。」

もはや治療は、白い部屋だけで行うものではありません。

“プレイする医療”は、心のケアを日常の中に取り戻す新しい選択肢となりつつあります。

すでにある「ゲーム療法士」につながる先進事例

その人らしい終末の迎え方を「ありたい死」からデザインする:ターミナルプランナー

ハーパー

ターミナルプランナー


わたしの仕事は、満足できる死に向けて 新たな人生設計活動を支援することです。 ターミナルとは、医療用語で「終末期」。 つまり、死に向けた企画作りですね。 ちょうど、お客様にとっての「幸せな死後 の世界」を具体化しているところです。 ありたい姿から逆算して進めるんですよ。 最初は終活と呼ばれて自分史を作ったり、 ちょっと変わったお葬式を企画したり。 沢山のサービスが進化してきました。 病気に関わらず、老後のライフプランを 企画し、スケジュールを作成・進行。 遺言書の作成、葬儀の手配、健康維持等、 最後の最後まで伴走していきますよ。

「“人生の最後”を話すって、タブーじゃなくてクリエイティブなんですよ。」

ハーパーは、人生の最終章をより良く迎えるための支援をする専門家。

“終末期”=ターミナルにおいて、本人の価値観を軸に、死後を含めたライフプラン全体を一緒に設計します。

たとえば、ハーパーが最近手がけた事例では…

  • 「自分史」をバーチャル空間で展示する“未来の遺言”プロジェクト
  • 思い出の景色をホログラムで再現し、そこでお別れを迎える葬送体験
  • 人生最終フェーズの身体と心のデータを使って、感謝の言葉を届けるAIスピーチ作成支援

「死に向き合うって、実は“生きる意味”を発掘することなんです。」

ターミナルプランナーは、医療と宗教、葬儀とライフデザインのあいだに立つ“死後逆算型の人生アーキテクト”とも言えるでしょう。

すでにある「ターミナルプランナー」につながる先進事例

個人の体質と性格を理解して 「病気になりにくい身体」をデザイン:健康習慣デザイナー

ベンジャミン

健康習慣デザイナー

わたしは、ひとりひとりに最適な健康習慣 を設計する仕事をしています。オーダー メイドのスーツを仕立てるように、その人 らしい健康的な習慣自体を作るんです。 身体も心も健やかな生活を送るためには、 定期的な検査と観察が必要。月毎の自宅 検査を行ってもらいながら、スポーツ・ 音楽・演劇・料理・旅行など、その人の 趣味を通じてできることを探します。 例えば、音楽が好きな人はVRのライブ 空間でダンスをすることから始めたりね。 個人個人に最適なプログラムにするので 無理なく体質にあったものが重要。そこに どれだけ寄り添えるかが一番の仕事です。


「運動が苦手?大丈夫。あなたに合った“健康の入り口”を一緒に探します。」

ベンジャミンは、ライフログや月次検査のデータをもとに、ひとりひとりに合わせた“生活習慣そのもの”を設計するプロ。

スポーツ、音楽、演劇、料理、旅行…。その人の趣味や好み、性格傾向を読み解きながら、“健康が自然に続く仕組み”を共に構築します。

あるクライアントには、

  • VRライブで推しの曲に合わせて踊る朝のルーティンを設計
  • 通院が苦手な人には、推し旅ルートを歩いて記録すると検診結果が反映されるゲーミフィケーションを導入
  • 認知機能の衰えを予防する“推しと演劇台本を読む”コミュニティを設計

「健康って、“正解に従うこと”じゃなくて、“自分らしさに寄り添うこと”なんですよ。」

ベンジャミンのような健康習慣デザイナーの登場によって、医療でも介護でもない、“日常から始まるウェルビーイングの選択肢”が広がっています。

すでにある「健康習慣デザイナー」につながる先進事例

3人の共創によって、ある{かもしれない}2032年のニュース

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📡【2032年10月6日 】

『ケア・パスポート制度、全国展開へ:人生後半の価値を可視化する“共感信用スコア”が社会基盤に』

🎙️本日、厚生未来省は「ケア・パスポート制度」の全国導入を正式に発表した。この制度は、医療・介護・余命設計・ウェルビーイング支援などの各分野を横断し、人生後半における“生き方の選択と投資”を支援する新たな社会インフラとして注目を集めている。

この構想の起点となったのは、2030年に始動した「CARE LOOPプロジェクト」

ゲーム医療士・ターミナルプランナー・健康習慣デザイナーらによる実証実験から生まれたもので、「寿命100年時代の“後半人生経済”」のモデルケースとして国際的にも高く評価されている。


🎮【ゲームが医療を越え、“自己理解の通貨”になる時代へ】

アビゲイル率いるチームは、認知症予防・メンタルケアに対応した“自己探求型ゲーム”を開発。

ゲーム内で記録されるプレイログや感情変化は、専門AIと連携して「ケア・パスポート」に反映される。

これにより、たとえば…

  • 病気や障害と向き合った記録
  • 自己肯定感の回復ログ
  • 周囲とのコミュニケーションログ

といった非医療的データが“心理的レジリエンス資産”として蓄積・評価される仕組みが整ってきた。


🪦【人生の終わりを“設計する力”が、地域社会の通貨になる】

ターミナルプランナーのハーパーが推進したのは、人生後半のライフシナリオ設計を可視化する「ターミナル・グリッド」

これは個人の死生観・想い・遺言・記憶の共有意志などをデジタルマップ化し、遺族や地域の福祉コミュニティと連携するもの。

  • 「死のあり方」×「地域とのつながり」
  • 「ライフエンディングの質」×「社会的信用」

という全く新しい評価指標が整備され、高い透明性と共感スコアの可視化により、

公共支援の優先順位や新しい遺贈システムの基盤にも応用されている。


🧘【習慣が資産に、“暮らしのクレジット”が始動】

ベンジャミンが開発した「LifeFit Ledger(ライフフィット台帳)」では、個々人の健康習慣が“生活信用”としてスコア化される。

音楽ライブでのダンス、家族との定例ウォーキング、推しのレシピで作る夜ご飯…。

「無理に運動させるのではなく、好きな暮らしから健康を育てるという考え方が浸透したことで、

習慣=資産、という考え方が一気に広まった」とベンジャミンは語る。

スコアは医療費軽減や保険料の減免だけでなく、“地域共感投資ファンド”への参加資格にもつながる。


👀【コラム:ケアは“負担”ではなく、“選択する価値”へ】

この制度は、ケアを受ける・提供するという一方向的な関係ではなく、

「自分のケア選択が、他者の未来に投資される仕組み」を築いている点で革新的だ。

たとえば:

  • 高スコアを記録したケアパスポート所有者は、「次世代のゲーム医療プロジェクト」へトークンで寄付可能
  • ターミナル・プランナーの支援経験がある人は、将来自分が支援されるときに優先的マッチングを受けられる

「人生後半の行動が、“生きた資産”として社会に還元される社会を創りたい」

2032年の発表会で、プロジェクトメンバーのひとり、ハーパーはそう語った。


💬【編集後記】

ケアは、単なる福祉ではない。

それは未来を再設計する力であり、“新しい経済圏の礎”なのかもしれない。

2030年代、ケアは静かに、しかし力強く社会の中心へと歩み出している。

未来の医療と介護を支える職業たち

2032年、医療と介護の境界線は、静かに、しかし確実に溶け始めています。

アビゲイルのようなゲーム医療士、ハーパーのようなターミナルプランナー、そしてベンジャミンのような健康習慣デザイナー

彼らのような新たな職業は、治すための医療でも、支えるだけの介護でもない、“生き方そのものに寄り添うケア”をかたちづくっています。

心の健康、人生の最終章、そして日々の習慣。

かつては別々の領域だったそれらが、今では重なり合いながら、一人ひとりの生活のリズムとして再構成されているのです。

そして私たちは今、問われています。

誰のケアを受けたいかだけでなく、どんな風に誰かを支えたいか。

どんなふうに“生きる”ことに関わる仕事をしたいか。

アビゲイルたちは、「ケア=負担」でも「ケア=制度」でもなく、

“ケア=創造と選択のプロセス”として、2030年代の働き方を更新しています。

これからの社会では、こうした“ケアの未来の交差点”に立つ新たな仕事が、

私たちの暮らし方、支え方、そして働き方そのものを根本から変えていくでしょう。

2032年、あなたは、誰の「生きる」に関わる仕事をしていたいですか?


楽しみながら未来について考えよう!

2030年代の
新職業の未来人に
なりきるカード

Reo Fujita

Reo Fujita

VISIONGRAPH インターン

武蔵野美術大学 造形構想学部 クリエイティブイノベーション学科 4回生 スペキュラティブデザイン、未来洞察、シナリオプランニングなどを研究中。卒業制作テーマはセレンディピティ・ドリブン(未来の兆しと偶然の出会いから、“自分だけの問い”が芽生える装置をつくる)ことをしています。 高校卒業後、ロサンゼルスに留学、視覚芸術学や哲学、天文学、文化人類学などを学び武蔵野美術大学へ広義のデザインを研究しに編入。 趣味はサッカー観戦、ゴルフやダーツ、SF映画や漫画など。Go Dodgers!!

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