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なぜまちづくりに「未来」が求められてるのかー Futures Literacyの重要性

私たちが暮らすまちは、日々変化しています。テクノロジーの進化、気候変動、社会構造の変化など、多くの要因が私たちの生活に影響を与えています。こうした変化に対応しながら、持続可能で豊かなまちをつくるためには、「自分なりの未来の仮説を道具のように使いこなす能力である「Futures Literacy(フューチャーズ・リテラシー)」が欠かせません。

Futures Literacyとは、未来を想像し、その可能性を柔軟に考える能力を指します。これは、単なる未来予測ではなく、さまざまな未来のシナリオを描き、それに基づいて現在の意思決定をより良いものにするためのスキルです。本記事では、Futures Literacyがまちづくりにおいてなぜ重要なのかを解説していきます。
※Futures Literacyについての基本情報はこちらにも記事にもまとめていますのでご覧ください。

Futures Litercy が、いかにまちの役に立てるのか

求められる「データドリブン」から「ビジョンドリブン」なまちづくりへの変革

政策や都市計画を立案する際、多くの場合、現在のデータや過去の統計が活用されます。これらの情報は確かに重要ですが、それだけでは未来に起こる変化を十分に予測することはできません。たとえば、現時点での人口動態や経済指標をもとに計画を立てても、10年後、20年後の社会の変化に適応できるとは限りません。

Futures Literacyを活用することで、多様な未来のシナリオを想定し、それに応じた政策やまちづくりを考えることができます。たとえば、テクノロジーの発展により働き方が変化し、リモートワークが主流になった場合、都市の構造や住宅事情はどう変わるでしょうか?また、気候変動の影響で気温が上昇した場合、公共空間や緑地の整備はどのように進めるべきでしょうか?
未来を描く力を持つことで、これらの変化に柔軟に対応し、より良い都市づくりを実現できます。

多様な住民が主体性をもって、まちに関わるプロセス

また、参加性を高めることで多様な意見を取り入れ、共創の機会を生み出す点でも非常に有用です。
ワークショップやディスカッションを通じて、住民や利害関係者が自由に未来のシナリオを描き、共有することで、従来のトップダウン型の政策決定とは異なる、ボトムアップ型のまちづくりが可能になります。まちのビジョンを共創し、個々の参加者が自分の体験や価値観を反映させた未来像を共有することで、異なる背景を持つ人々の間で共感を生み、多様な価値観を尊重した合意形成を促進することにつながるでしょう。

同時に、これらの手法は参加者が自分のアイデアやビジョンを具現化しやすいため、まちづくりのプロセスにおいて主体的に関わる動機付けを強化します。結果として、参加者自身がまちづくりの主体となり、持続可能で共創的なコミュニティの形成に寄与していくのです。

Futures Literacyの活用方法

Futures Literacyを活かしたまちづくりには、いくつかの具体的な手法があります。

シナリオプランニング
シナリオプランニングとは、異なる未来の可能性を想定し、それぞれのシナリオに応じた計画を立てる方法です。たとえば、経済成長が順調に進む未来と、低成長が続く未来では、必要な都市インフラや社会サービスが大きく異なります。こうした複数の未来を考慮することで、より柔軟で持続可能な政策を設計できます。

未来人(キャラクター)を設定した上でのストーリーテリング
この手法では、架空の未来人(キャラクター)を設定し、その人の視点で未来のまちを描きます。たとえば、高齢者、子育て世帯、障がいを持つ人など、それぞれ異なる立場の人々の目線で未来の暮らしを想像することで、誰もが暮らしやすい都市のあり方を探ることができます。

バックキャスティング
参加者は、「どのような未来になってほしいか」「その未来を実現するために必要なことは何か」を考え、文章にまとめます。それらを自分への未来の手紙として書き記すのも良いでしょう。これにより、まちの未来に対する市民のビジョンを明確にし、政策立案に活かすことが可能です。

各手法について詳しくはこちらの記事でもご紹介してますのでご興味あればご覧ください。


まちづくりにおけるFutures Literacyの実践事例

Futures Literacyはすでにさまざまな都市や地域で活用されています。いくつかご紹介しましょう。

渋谷区のまちづくりマスタープラン2040(令和元年)

令和元年に渋谷区が発行したまちづくりマスタープランにおいては、「渋谷民が考える未来」ということで、マスタープランの設計前に渋谷の未来を描くワークショップが行われました。
こちらのNoteに詳しく当日の様子が描かれています。

このワークショップで渋谷民が考えたアイデアは、マスタープラン1章で「渋谷民が考える未来」としてまとめらえれています。
そして3章では過去やポテンシャルを分析した上で、「渋谷区が目指す将来像とまちづくりのアプローチ」としてまとめられています。

私も渋谷区のまちづくりマスタープランの制作に関わらせていただきましたが、当時は行政の中長期の計画資料に「一般市民が考えた未来のアイデア」が掲載されることに非常に刺激を覚えました。
まさに未来を考える力やFutures Literacyが、専門家の枠を超えて必要になっていく時代だと強く感じた有意義なプロジェクトでした。

国交省の「官民連携まちなか再生事業」で日本全国に「未来ビジョン」があふれる(令和2年〜)

令和2年度から、国土交通省が支援事業「官民連携まちなか再生事業」を立ち上げました。

官民の様々な人材が集積するエリアプラットフォームの構築やエリアの将来像を明確にした未来ビジョンの策定、ビジョンを実現するための自立・自走型システムの構築に向けた取組を総合的に支援し、多様な人材の集積や投資を惹きつける都市の魅力・国際競争力の強化を図る。
 ー国土交通省資料 「官民連携まちなか再生事業について」より

この旗揚げにより、全国各地でエリアプラットフォームが生まれ、未来ビジョンを発信する自治体の取り組みが一気に広がりました。

たとえば…

経産省が運営する「官民連携まちづくりポータルサイト」からもご覧いただけますし、
詳しく知りたい方はとてもわかりやすいパンフレットが公開されています。

未来を考えることが、より良いまちをつくる

まちづくりにおいて、短期的な課題解決だけでなく、長期的な視点で未来を考えることは非常に重要です。
Futures Literacyを活用することで、
・多様な視点を取り入れた包括的な政策立案が可能になる
・不確実な未来にも柔軟に対応できる
・市民の意見を反映しやすく、より良い合意形成が図れる
といったメリットが得られます。

私たち一人ひとりが未来を想像し、それを共有することで、より豊かで持続可能なまちづくりが実現できます。

まちの未来を考えるワークショップや対話の場を増やし、Futures Literacyを活用した政策立案や市民参加が進むといいですね。

未来は予測するものではなく、私たちが創り出すものです。
今からでも、未来を想像し、その可能性を広げる一歩を踏み出しましょう!

この「まち」カテゴリーでは、このような様々な取り組みをはじめ、まちの未来予報®︎などをご紹介していきます!

未来予報アカデミー®︎

日本ではじめての未来予報®︎を使いこなす構想力をつけるためのサブスクリプション型のOnlineプラットフォーム。
まちに関する10年のトレンド変遷が学べるオンライン講座「メガトレンド2010s-2024」も受講できます。

ソガコウタロウ

ソガコウタロウ

Futures Literacy Journal 発起人

未来像{HOPE}をつくる専門会社 未来予報株式会社 aka VISIONGRAPH Inc. aka SXSW Japan Office の 共同代表。未来に関わるプロジェクトをデザインしたり、リサーチしたり、未来の予報を作ったりします。 乗り鉄 / キャンプ / サウナ / 音楽 / 旅行 / ヨガ / 家庭菜園 などが趣味ワード。HeとでもTheyとでもお呼びください!

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