【図解】フィルターバブルとエコーチェンバーとは? 中学生でもわかるSNSの「情報の壁」

SNSで意見が偏るのはなぜ?

YouTubeやTikTokを見ていると、「あれ、昨日見たのと似たような動画ばっかりだなあ」って思うこと、ありませんか?
X(旧Twitter)を開くと、自分と同じ意見や、「わかるー!」って共感できる投稿ばかりが流れてきて、なんだかホッとしたり。

でも、それって少しモヤモヤしませんか?

「世の中には、もっと色々な考えがあるはずなのに…」
「どうして私のスマホには、同じような情報しか届かないんだろう?」

実は、そのモヤモヤの正体は、「フィルターバブル」と「エコーチェンバー」というキーワードで説明できます。どちらもスマホやSNSを使うすべての人に関係がある、とっても大事な言葉です。

この記事では、それぞれの言葉の意味や違い、そしてどう付き合っていけばいいのかを、なるべくわかりやすく解説していきます。

フィルターバブルってなに? AIが作る「あなた専用の泡」

「なんだか私のスマホ、私の好みを分かりすぎてるみたい!」

そんな、AI(アルゴリズム)が原因で起こる現象が、フィルターバブルです。フィルターバブル(Filter Bubble)は、直訳すると「フィルター(ろ過)された泡」。YouTubeやTikTok、Google検索などのAIは、とっても賢い「編集長」のようなもの。あなたが過去に検索したことや、長く見た動画、「いいね」した投稿などから、あなたの「好み」をものすごい勢いで学習します。

そして、「キミはこれが好きだよね?」と、あなた専用の「すご腕編集長」として、あなた好みの情報だけを自動で選んで届けてくれます。

例えば…
猫の動画ばかり見ていたら、おすすめ欄が猫だらけになる。
特定のゲームの攻略法を調べたら、ニュースアプリまでそのゲームの情報ばかりになる。

これは一見、快適ですよね。でも、この「あなた専用の快適な泡(バブル)」の外側にある情報、つまり「あなたが好きじゃないかもしれない情報」や「あなたと反対の意見」が、あなたに見えなくなってしまうんです。

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エコーチェンバーってなに? 人間が作る「だよねー!」の部屋

「このグループにいると、安心する!」

そんな、人間(あなた自身や仲間)が原因で起こる現象が、エコーチェンバーです。エコーチェンバー(Echo Chamber)は、直訳すると「反響室」。音楽室とかで、声が響くあの感じです。人は、自分と違う意見を聞くよりも、同じ意見(共感)を聞くほうが安心します。

そのため、XやInstagramなどのSNSでは、無意識のうちに…

  • 自分と似た考えの人を「フォロー」する。
  • 自分の意見に「いいね」してくれる人をフォローバックする。
  • 自分と反対の意見の人は「ブロック」や「ミュート」する。

こうして気づくと、あなたの周り(タイムライン)は、自分と同じ意見の人だらけに。これが、同じ意見だけが山びこ(エコー)のように「だよねー!」「わかるー!」と響き合う部屋(チェンバー)、つまりエコーチェンバーです。

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フィルターバブルとエコーチェンバーの違いって?

これら2つの言葉は、どちらも「情報が偏る」という共通点がありますが、ちょっとずつ注目しているポイントが異なります。

比較ポイントフィルターバブルエコーチェンバー
主な原因AI(アルゴリズム)人間(自分・仲間)
誰が選ぶ?AIが「あなたのために」選ぶ自分が「心地よいから」選ぶ
情報の状態違う意見が見えなくなる(遮断)同じ意見が強くなる(増幅)

【要注意】 2つはセットで「見えない壁」を作る

この2つは、バラバラに起きるというより、セットになることで強力な「見えない壁」を作ります。

  1. フィルターバブル
    AIが「この人はこういう意見が好きだな」と判断し、似た意見の人を「おすすめユーザー」として表示する。
  2. エコーチェンバー
    あなたがその人をフォローし、似た意見のコミュニティ(反響室)が作られる。
  3. 強化
    その結果、ますますAIが「やっぱりこの人はこれが好きだ」と判断し、バブル(泡)が厚くなっていく…という悪循環です。

なぜ問題になるの?

「好きな情報だけ見られて、何が悪いの?」と思うかもしれません。でも、この「泡」や「部屋」の中にずっといると、社会全体にとって、ちょっと「ヤバい」ことが起きてしまうんです。

自分と違う考えが「敵」に見えてくる

自分と違う意見に触れるチャンスが減るため、「自分の考え=世の中の常識」とカン違いしやすくなります。その結果、違う意見の人を「間違ってる」「おかしい」と攻撃しやすくなってしまうんです。

フェイクニュースやウソを信じやすくなる

「だよねー!」と共感しか聞こえない部屋の中では、「それ本当?」と疑う力が弱まります。みんなが言っていると、明らかなウソやデマ、極端な意見でも信じ込んでしまう危険があります。

社会がバラバラに「分断」してしまう

私たち一人ひとりが「自分だけの世界」や「仲間だけの部屋」に閉じこもってしまうと、お互いに違う意見を理解しあえなくなり、社会全体が対立してしまうことにつながるのです。


ネットと賢く付き合うための4つの

「じゃあ、そんな時代にどう立ち向かえばいいの?」
この仕組みを知った今、私たちには何ができるのでしょうか? それは、ネットの情報に「流される」のではなく、自分で「選びとる」力を持つことです

①あえて「違う側」をのぞく力(探究心)

いつも見ている情報が「すべて」だと思わないことが大切です。
◎ ニュースアプリで、いつもは読まないカテゴリ(政治、国際など)も開いてみる。
◎ 何かを調べるとき、「〇〇 賛成」だけでなく「〇〇 反対」と入れて検索し、両方の意見を読んでみる。

②「それ本当?」と立ち止まる力(思考力)

情報があふれている今、自分の頭でしっかり考えることがとっても大事です。
◎ SNSで「これはヒドい!」と強く感じても、すぐに「いいね」や「リポスト」をしない。
◎ 「この記事は誰が書いた?」「他の情報源は?」と、一度立ち止まるクセをつける。

③「リアル」で話す力(対話力)

人とつながることが、安心できる未来への第一歩になります。
◎ ネットでつながっていない人、つまり家族、学校の友達、部活の仲間と直接話してみる。
◎ 自分と全く違う趣味や考えを持つ人の話を聞いて、「そういう考えもあるんだ」と知る。

④「おすすめ」に頼りすぎない力(主体性)

AIは便利な道具ですが、「あなた」のすべてを知っているわけではありません。
◎ たまには、YouTubeのおすすめ欄ではなく「検索」機能や「登録チャンネル」から動画を選んでみる。
◎ AIに「選ばせる」のではなく、自分が「見たい」ものを意識して選ぶ。


この“見えない壁”と、どう生きる?

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フィルターバブルとエコーチェンバーは、スマホやSNSを使う限り、誰にでも起こりうることです。でも、「見えない壁があるかも」と知っているだけで、世界の見え方はまったく変わってきます。大切なのは、「AIに情報を選ばせる」のではなく、「自分が情報を選ぶ」という意識を持つことです。

学校でも「メディアリテラシー(情報を正しく読み解き、使いこなす力)」がますます重要になっています。スマホの向こうには、あなたの知らない面白い世界や、あなたと違う考えの人がたくさんいます。「泡」や「壁」の存在に気づいて、インターネットを「閉じこもる道具」ではなく、「自分の世界を広げるための窓」として、かしこく使いこなしていきましょう!

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井上 薫

井上 薫

Futures Literacy Journal 編集者

編集・ライター 実用書の出版社にて書籍の企画・編集を行う。その後、福祉・介護系のメディアにてWebの編集・取材を担当。2022年にフリーランスとして独立。 趣味は、路上観察と喫茶店めぐり。 特技は、Excelと皿洗い。

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