共創とは?協働・コラボレーションとの違いと、未来をともにつくる方法

企業や自治体、教育機関、まちづくりの現場などで、「共創」という言葉を耳にする機会が増えています。

共創プロジェクト。
共創ワークショップ。
地域共創。
産官学民共創。
オープンイノベーションによる共創。

どれも前向きな言葉に聞こえますが、「協働」や「コラボレーション」と何が違うのか、少しわかりにくいと感じる人も多いかもしれません。

共創とは、単に誰かと一緒に作業することではありません。
異なる立場や専門性、価値観を持つ人たちが、まだ正解のないテーマに向き合いながら、新しい価値や未来の選択肢をつくっていくプロセスです。

特に、不確実性が高く、これまでの延長線上だけでは答えが見えにくい時代において、共創はとても重要になっています。

この記事では、共創とは何か、協働やコラボレーションとの違い、そして企業や自治体で共創を活かすための考え方を、未来予報®︎の視点から解説します。


この記事でわかること

この記事では、以下のようなことを紹介します。

  • 共創とは何か
  • 協働・コラボレーション・オープンイノベーションとの違い
  • なぜ今、企業や自治体で共創が求められているのか
  • 共創に必要な3つの視点
  • 共創ワークショップを設計するときのポイント
  • 未来予報®︎の視点から見た「共創」の意味

共創とは?

共創とは、異なる立場の人たちが関わり合いながら、新しい価値や意味、アイデア、仕組みをともにつくっていくことです。

英語では “co-creation” と訳されることが多く、企業と顧客、行政と住民、研究者と事業者、異なる業界の企業同士など、複数の主体が関わりながら価値を生み出す考え方として使われています。

ただし、共創の本質は「複数の人が集まること」だけではありません。

重要なのは、参加する人たちがそれぞれの経験や視点、問いを持ち寄りながら、最初から答えが決まっていないテーマに向き合うことです。

たとえば、次のようなテーマは共創と相性が良いといえます。

  • 10年後の働き方を考える
  • 地域の未来ビジョンをつくる
  • 新しい事業機会を探索する
  • 生活者の価値観変化から商品を考える
  • 多様な住民とまちの未来を考える
  • 企業理念やパーパスを社員とともに見直す
  • 社会課題とビジネスを両立する方法を探る

これらのテーマには、ひとつの正解がありません。
専門家だけで決められるものでも、組織の上層部だけで決められるものでもありません。

だからこそ、異なる視点を持つ人たちが集まり、それぞれの見ている世界を持ち寄りながら、新しい可能性を探っていく必要があります。

共創とは、答えを持ち寄ることではなく、まだ見えていない問いや可能性をともに立ち上げることなのです。


共創と協働・コラボレーションの違い

共創と近い言葉に、「協働」や「コラボレーション」があります。
どれも複数の人や組織が関わる点では共通していますが、少しずつ意味が異なります。

言葉主な意味ポイント
協働共通の目的に向かって力を合わせること役割分担や実行に重きがある
コラボレーション異なる人や組織が連携して成果を生むこと組み合わせによる成果創出
オープンイノベーション外部の知識や技術を取り入れて革新を起こすこと企業や研究開発領域で使われやすい
共創異なる視点を持ち寄り、新しい価値や未来の選択肢をともにつくること正解のないテーマに向き合うプロセス

協働は、すでに共有された目的に向かって、役割を分担しながら進めるニュアンスが強い言葉です。
コラボレーションは、異なる人や組織が組み合わさることで、新しい成果を生むことを指します。

一方で、共創は、目的や問いそのものを一緒に探るところから始まります。

「何をつくるか」だけでなく、
「なぜそれが必要なのか」
「誰にとって意味があるのか」
「どんな未来につながるのか」
を参加者とともに考えることが、共創の大きな特徴です。

つまり、共創は単なる共同作業ではありません。
異なる価値観や前提を持つ人たちが関わることで、これまで見えていなかった問いや選択肢を生み出すプロセスなのです。


なぜ今、企業や自治体で共創が求められているのか

共創が求められる背景には、社会や市場の変化が複雑になっていることがあります。

かつては、企業が生活者のニーズを調査し、その結果をもとに商品やサービスを開発するという流れが主流でした。
行政や自治体においても、専門家や担当部署が計画を立て、それを住民に説明するという形が一般的でした。

しかし、現在の社会では、価値観や生活スタイルが多様化し、課題も複雑になっています。

高齢化、気候変動、地域コミュニティの変化、働き方の多様化、テクノロジーの進化、生成AIの普及、若い世代の価値観の変化。
こうした変化は、ひとつの部署や専門領域だけでは捉えきれません。

たとえば、新しいまちづくりを考えるとき、都市計画の専門家だけでなく、住民、子育て世代、高齢者、事業者、学生、行政、福祉、交通、文化など、さまざまな視点が必要になります。

新規事業を考えるときも同じです。
技術部門だけでなく、生活者の実感、社会課題、文化の変化、顧客の違和感、未来の価値観をあわせて考える必要があります。

共創が求められているのは、単に「みんなで仲良く考えるため」ではありません。
複雑な未来や、やっかいな問題に対して、ひとつの視点だけでは見えない可能性を見つけるためです。

未来の課題は、ひとりの専門家やひとつの組織だけでは解けない。
だからこそ、共創が必要になっているのです。


共創に必要な3つの視点

共創は、ただ人を集めれば自然に起こるものではありません。
むしろ、異なる立場の人が集まるからこそ、意見の違いや前提のズレが生まれます。

その違いをうまく扱えるかどうかが、共創の質を大きく左右します。

ここでは、共創に必要な3つの視点を紹介します。


1. 正解を急がず、問いを共有する

共創の場では、最初から解決策を出そうとしすぎないことが大切です。

もちろん、最終的にはアイデアや施策、事業、制度、サービスにつなげる必要があります。
しかし、最初から「何をやるか」だけに集中すると、現在の延長線上の発想に留まりやすくなります。

共創で重要なのは、まず問いを共有することです。

「私たちは何を課題だと感じているのか」
「このテーマは、誰にとって重要なのか」
「どんな未来を避けたいのか」
「どんな未来なら、関わりたいと思えるのか」

こうした問いを共有することで、参加者は単なるアイデア出しではなく、テーマの意味そのものに向き合うことができます。

共創とは、答えを急ぐ場ではなく、問いを育てる場でもあります。


2. 違いを“対立”ではなく“素材”として扱う

共創の場では、意見の違いが必ず生まれます。

企業と生活者では、同じサービスを見ても重視するポイントが違うかもしれません。
行政と住民では、同じ地域課題に対して見えている景色が違うかもしれません。
若い世代と管理職では、同じ働き方の未来に対して感じる期待や不安が異なるかもしれません。

こうした違いを、単なる対立として見ると、共創は進みにくくなります。

大切なのは、違いを新しい問いや可能性の素材として扱うことです。

「なぜ、その人にはそう見えているのか」
「その違いの背景には、どんな経験や価値観があるのか」
「このズレから、どんな新しい視点が見えてくるのか」

違いは、共創を難しくするものでもあります。
しかし同時に、共創を豊かにするものでもあります。

同じ意見の人だけが集まっても、新しい未来は見えにくい。
異なる視点が出会うからこそ、まだ見えていなかった可能性が立ち上がるのです。


3. 参加者を“意見を出す人”ではなく“未来の担い手”として扱う

共創の場では、参加者を単なる意見提供者として扱わないことが大切です。

アンケートに答える人。
ワークショップで付箋を書く人。
ヒアリングで意見を言う人。

もちろん、こうした参加の形も大切です。
しかし、それだけでは共創というより、情報収集に近くなってしまいます。

共創では、参加者を「未来をともにつくる担い手」として位置づける必要があります。

その人の経験や違和感は、単なる参考意見ではありません。
未来の選択肢を考えるための重要な材料です。

たとえば、住民が語る「この道はなんとなく歩きづらい」という違和感。
若手社員が語る「この制度は自分たちの実感とずれている」という感覚。
生活者が語る「便利だけど、少し不安」という反応。

こうした言葉は、まだ明確な提案ではないかもしれません。
しかし、その中に、未来のサービスや制度、まちづくりのヒントが含まれていることがあります。

共創とは、参加者の声を“回収する”ことではありません。
その声とともに、未来を考えることなのです。


共創ワークショップを設計するときのポイント

共創を実践する方法のひとつに、共創ワークショップがあります。

共創ワークショップとは、異なる立場の人たちが集まり、対話やアイデア創出を通じて、新しい価値や未来の可能性を考える場です。

ただし、ワークショップを開けば自動的に共創が起こるわけではありません。
共創の質は、場の設計によって大きく変わります。

共創ワークショップを設計するときには、次のようなポイントが重要です。


目的を「アイデア出し」だけにしない

共創ワークショップというと、付箋を使ってたくさんアイデアを出す場をイメージする人も多いかもしれません。

しかし、共創の目的は、単にアイデアの数を増やすことではありません。

重要なのは、参加者がテーマを自分ごととして捉え、異なる視点を持ち寄りながら、未来の可能性を広げることです。

そのためには、最初から「解決策を出しましょう」とするのではなく、まずはテーマに対する感情や違和感、関心を共有する時間が必要です。

「この未来にワクワクするのはどこか」
「逆に、不安や違和感を感じるのはどこか」
「自分の経験と重なる部分はどこか」

こうした問いから始めることで、参加者は単なる発想作業ではなく、未来に対する自分の立ち位置を見つけやすくなります。


共通言語となる素材を用意する

異なる立場の人たちが集まる共創の場では、最初から言葉が通じ合うとは限りません。

専門用語、業界の常識、部署ごとの前提、地域ごとの感覚。
それぞれが異なる言葉や見方を持っています。

だからこそ、共通言語となる素材があると、対話が進みやすくなります。

たとえば、未来シナリオ、未来の職業、価値観カード、兆しマップ、生活者のストーリー、写真、イラスト、架空のニュースなどです。

こうした素材は、正解を与えるものではありません。
参加者が未来を想像し、自分の感じたことを話すためのきっかけになります。

「この未来はありそう」
「これは少し怖い」
「自分の地域ではこう変わるかもしれない」
「うちの会社なら、ここに関われるかもしれない」

共通の素材があることで、参加者は自分の専門や立場を超えて、未来について話しやすくなります。

たとえば、私たちはミニワークショップの中でも最初にこちらの動画を活用して、簡単な意見交換を促しています。


最後に“今の行動”へ戻す

共創ワークショップでは、未来の可能性を広げることが重要です。
しかし、広げたままで終わると、参加者の中に「面白かったけれど、結局何をすればいいのか」という感覚が残ることがあります。

そのため、最後には必ず今の行動へ戻すことが大切です。

「この未来を見たときに、今から気にしておきたいことは何か」
「自分の仕事や組織に引き寄せると、どんな問いが生まれるか」
「明日から少し変えられる行動は何か」
「このテーマについて、誰と話してみたいか」

未来を考えることは、遠くの理想を眺めることではありません。
今の選択肢を増やすことです。

共創ワークショップの最後に、未来と現在をつなぐ時間をつくることで、参加者は未来を自分ごととして持ち帰ることができます。


共創を進めるときに起こりやすい落とし穴

共創は魅力的な言葉ですが、実践にはいくつかの落とし穴があります。

ひとつは、共創が「参加したこと」によって完了してしまうことです。

ワークショップを開催した。
住民や社員の意見を聞いた。
付箋がたくさん出た。
それだけで共創ができたように見えてしまうことがあります。

しかし、本当に重要なのは、その後に何が変わるかです。
集めた声がどのように解釈され、意思決定にどう反映され、次の行動につながるのか。
ここまで設計されていないと、共創は単なるイベントで終わってしまいます。

もうひとつは、最初から結論が決まっている場を「共創」と呼んでしまうことです。

参加者の意見を聞くように見えて、実際にはすでに決まっている方針を納得してもらうための場になっている。
これは共創ではなく、説明や合意形成に近いものです。

共創には、不確実性を引き受ける姿勢が必要です。
参加者の声によって、最初に考えていた前提が変わるかもしれない。
想定していなかった問いが出てくるかもしれない。
その余白を持つことが、共創には欠かせません。

共創とは、予定通りに進めることではなく、異なる視点との出会いによって、自分たちの前提を更新していくことでもあるのです。


未来予報®︎の視点:共創とは、未来の前提を一緒に問い直すこと

未来予報®︎では、未来を一部の専門家が予測して提示するものとしてだけではなく、多様な人が関わりながら、自分たちの前提を問い直すためのきっかけとして捉えています。

その意味で、共創は未来を考えるうえでとても重要な方法です。

未来について考えるとき、私たちは無意識のうちに、現在の延長線上で物事を見ています。

今の会社の仕組み。
今の地域の制度。
今の家族観。
今の働き方。
今の顧客像。
今の技術の使われ方。

しかし、未来を考えるということは、そうした「当たり前」が変わる可能性に目を向けることです。

共創の場では、異なる立場の人たちが集まることで、自分たちだけでは気づけなかった前提が見えてきます。

ある人の違和感が、別の人にとっての発見になる。
ある人の不安が、未来のサービスのヒントになる。
ある人の願いが、組織や地域の新しいビジョンにつながる。

共創とは、単にみんなでアイデアを出すことではありません。
未来の前提を、一緒に問い直すことです。

まだ正解のないテーマに対して、異なる視点を持ち寄りながら、「これから私たちは何を大切にしたいのか」を探っていくこと。

それが、未来予報®︎における共創の意味です。


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学術機関や地域団体の交流など、さまざまなシーンで当社のワークショップを採用頂いています。

ソガコウタロウ

ソガコウタロウ

Futures Literacy Journal 発起人

未来像{HOPE}をつくる専門会社 未来予報株式会社 aka VISIONGRAPH Inc. aka SXSW Japan Office の 共同代表。未来に関わるプロジェクトをデザインしたり、リサーチしたり、未来の予報を作ったりします。 乗り鉄 / キャンプ / サウナ / 音楽 / 旅行 / ヨガ / 家庭菜園 などが趣味ワード。HeとでもTheyとでもお呼びください!

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