今の時代って、なんだか「むずかしい」って感じない?
ニュースやSNSを見ていると、「世の中が複雑だなあ」って思うこと、ありませんか? 地震や戦争、AIの進化に物価の高騰など、ちょっと前までは考えられなかったような出来事が、ごく普通に起きている。しかも、次から次へと新しい問題が出てきて、なんだか落ち着かないですよね。
実は今の社会は、「VUCA(ブーカ)」「TUNA(トゥナ)」「BANI(バニ)」というキーワードで説明されることがあるんです。難しそうに聞こえるけど、それぞれの意味を知ると、もしかしたら今の「生きづらさ」の正体が見えてくるかもしれません。
この記事では、それぞれの言葉の意味や違いを、なるべく優しく解説していきます。
30秒で比較|VUCA・TUNA・BANIの違い
VUCA
Volatility(変動性)・Uncertainty(不確実性)・Complexity(複雑性)・Ambiguity(曖昧性)。
変化が大きく、複雑で、先を見通しにくい状況を捉える言葉です。
TUNA
Turbulence(激動)・Uncertainty(不確実性)・Novelty(新規性)・Ambiguity(曖昧性)。
経験したことのない状況や予測できない不確実性の中で、これまでの前提を捉え直す必要があることに注目します。
BANI
Brittle(もろさ)・Anxious(不安)・Nonlinear(非線形性)・Incomprehensible(理解困難)。
システムのもろさや、人が感じる不安、原因と結果が単純につながらない状況に注目した言葉です。
3つは、「VUCAの次はTUNA、その次はBANI」というように、一つが古くなれば別の言葉へ置き換わる関係とは限りません。
複雑で不確実な社会を、どの角度から見るかが異なる言葉として比べると理解しやすくなります。
VUCA(ブーカ)ってなに?
予測できない時代のキーワード

「なんだか、先が読めないなあ……」
そんな今の社会のようすを表すことばが、VUCA(ブーカ)です。もともとはアメリカの軍隊で使われていた言葉ですが、今ではビジネスや教育の場でも、「これからどうなるんだろう?」と未来を考えるときのキーワードになっています。
VUCAは、次の4つの英語の頭文字を組み合わせたものです。
V:Volatility(変動性)
U:Uncertainty(不確実性)
C:Complexity(複雑性)
A:Ambiguity(あいまいさ)
たとえば、新型コロナウイルスのように「いつ、どうなるかわからない変化」や、国と国との関係がからみ合った「複雑な問題」がどんどん出てきていますよね。こうした状況を、「VUCA時代」と呼びます。
VUCAの時代には、わたしたちも、
・変化にすばやく対応する力(アジリティ)
・いくつもの未来を考える力(シナリオ・プランニング)
・まわりの人としっかり話し合う力(コミュニケーション)
などがとても大切になります。
そして何より、新しいことを学び続けることが、生きるための力になるんです。
TUNA(トゥナ)ってなに?
予測不能な新しい事態に備える
TUNA(トゥナ)は、オックスフォードのシナリオプランニング研究で使われている言葉です。過去の経験だけでは判断しづらい状況で、複数の未来を考えながら、いまの状況そのものを捉え直すための考え方として使われています。
TUNAは、次の4つの英語の頭文字を組み合わせた言葉です。
T:Turbulence(激動)
U:Uncertainty(不確実性)
N:Novelty(新しさ)
A:Ambiguity(あいまいさ)
たとえば、AIのようなすごい技術が急に広まって、社会のルールや「当たり前」がガラッと変わってしまうことがありますよね。そんなとき、「これまでの経験が使えない」「どうすればいいのかわからない」と感じることがあるかもしれません。
TUNAの時代には、むかしの成功パターンにたよらず、新しい視点で未来を考えることが大切です。
「頭ではわかっても、気持ちがついていかない……」
そんな不安やとまどいが広がる、今の時代をあらわす言葉でもあるんです。
BANI(バニ)ってなに?
もろくて不安な、壊れやすい社会を表す言葉
BANI(バニ)は、未来学者のジャメイン・カシオさんが提案した言葉です。現代社会の「もろさ」や、それによって生まれる「不安な気持ち」に注目しています。
BANIも、次の4つの英語の頭文字からできています。
B:Brittle(もろさ)
A:Anxious(不安)
N:Nonlinear(非線形性、直線的じゃない)
I:Incomprehensible(理解できない)
たとえば、パンデミックで世界中の物流がストップしたり、SNSでウソの情報がひろがって、何が本当かわからなくなったりすることがありますよね。
「社会の仕組みがちょっとしたことで止まってしまう」
「不安が大きくなって、みんなが疑ってしまう」
こうした、一歩先が読めない“こわれやすい時代”の空気感を、BANIという言葉が伝えているのです。
VUCA・TUNA・BANIの違いって?
VUCA・TUNA・BANIは、どれも不確実で複雑な状況を理解するために使われる言葉ですが、注目しているポイントが少しずつ異なります。
どれか一つが「現在の正しい時代名」なのではなく、いま起きていることをどの視点から理解するかによって使い分けることができます。
| 視点 | VUCA ブーカ | TUNA トゥナ | BANI バニ |
| 生まれたきっかけ | 冷戦後の軍事戦略 | オックスフォード大学の研究者たち | より深い不安や社会のもろさに注目(シナリオプランニング) |
| だれが言い出したの? | アメリカの軍隊の人たち | オックスフォード大学の研究者たち | 未来学者のジャメイン・カシオ氏 |
| キーワード | 変動性 不確実性 複雑性 あいまいさ | 激動 不確実性 新しさ あいまいさ | もろさ 不安 非直線性 理解困難 |
| どんな時代? | 変化が多く、未来を予測しづらい時代 | 新しすぎて常識が通じない混乱の時代 | もろくて壊れやすく、不安が広がる時代 |
| たとえば、ニュースでいうと? | 新型コロナウイルスが急に広がって、マスクして学校に行くようになった | AIが一気に広まって、職業や学校の勉強のやり方が変わってきた | 大地震で電気もネットも止まり、デマ情報が広がって人々が混乱した |

未来を生き抜くために必要な5つの力
「じゃあ、そんな時代にどう立ち向かえばいいの?」
今の社会はどんどん変わっていて、「これから、どうなっちゃうんだろう?」って思うこともありますよね。でも、そんな時代を力強く生きていくためのヒントがあるんです。
それが「フューチャーズ・リテラシー」という考え方。未来を“予想”するんじゃなくて、未来を想像しながら、「今」をよりよく生きていく力のことです。
未来を正確に予想する力ではなく、未来を使うことで、現在の見方や選択肢を広げる力と考えるとわかりやすいでしょう。
①変化に対応する力(柔軟性)
社会やルールがコロコロ変わる時代。「どうしよう…」と立ち止まるのではなく、変化を受け入れて、考え方を切り替えることが大切です。
例:
◎やり方が変わったときに、「それもアリかも」と前向きに動ける
◎クラス替えで知らない子が多くても、新しい人と話してみる気持ちを持つ
②自分で考える力(思考力・判断力)
いろんな情報があふれている今、自分の頭でしっかり考えることがとっても大事です。周りに流されるのではなく、自分の「答え」を見つけよう。
例:
◎インターネットで見たことをすぐに信じるのではなく、自分で調べて考えてみる
◎ニュースで意見が分かれている問題について、両方の意見を聞いた上で自分なりの考えを持つ
③気持ちを伝え合う力(コミュニケーション力・共感力)
困ったときに「困ってる」と言えたり、友達の気持ちに気づいたり。人とつながることが、安心できる未来への第一歩になります。
例:
◎「手伝ってほしい」と伝えたり、「大丈夫?」と相手を気遣う言葉をかけたりできること
◎友達が落ち込んでいるときに、その気持ちに寄り添い、話を聞いてあげられる
④あきらめない力(レジリエンス=心の回復力)
うまくいかなくても、「もう一回やってみよう」と立ち上がる力が未来をひらきます。失敗はダメなことじゃない。次につなげれば、ちゃんと力になります。
例:
◎ミスしても、「次はこうしよう」って気持ちを切り替える
◎部活でうまくいかなくても、くやしさをバネに練習を続ける
⑤学び続ける力(探究心・アップデート力)
「もうわかった」じゃなくて、「もっと知りたい」「まだ知らないことがあるかも」と思えることが、未来をつくる原動力になります。
例:
◎気になることを自分で調べてみる、新しいことに積極的にチャレンジしてみる
◎授業で「おもしろい!」と思ったことを、家でさらに調べてみる
この“むずかしい時代”を、どう生きる?
VUCA・TUNA・BANIの時代は、きっと今までより少し「むずかしい」と感じるかもしれません。でも、「むずかしい=できない」じゃないんです。
この変化の波を乗りこなし、未来を切り拓くためには、「未来を想像する力」や「学び続ける姿勢」がとても大切になってきます。そして、今回紹介したフューチャーズ・リテラシーは、誰でも少しずつ育てていける力です。
私たち一人ひとりの中に、未来を生き抜くためのヒントはきっとありますよ。


