今の時代って、なんだか「むずかしい」って感じない?
ニュースやSNSを見ていると、「世の中が複雑だなあ」って思うこと、ありませんか? 地震や戦争、AIの進化に物価の高騰など、ちょっと前までは考えられなかったような出来事が、ごく普通に起きている。しかも、次から次へと新しい問題が出てきて、なんだか落ち着かないですよね。
実は今の社会は、「VUCA(ブーカ)」「TUNA(トゥナ)」「BANI(バニ)」というキーワードで説明されることがあるんです。難しそうに聞こえるけど、それぞれの意味を知ると、もしかしたら今の「生きづらさ」の正体が見えてくるかもしれません。
この記事では、それぞれの言葉の意味や違いを、なるべく優しく解説していきます。
VUCA(ブーカ)ってなに?
予測できない時代のキーワード

「なんだか、先が読めないなあ……」
そんな今の社会のようすを表すことばが、VUCA(ブーカ)です。もともとはアメリカの軍隊で使われていた言葉ですが、今ではビジネスや教育の場でも、「これからどうなるんだろう?」と未来を考えるときのキーワードになっています。
VUCAは、次の4つの英語の頭文字を組み合わせたものです。
V:Volatility(変動性)
U:Uncertainty(不確実性)
C:Complexity(複雑性)
A:Ambiguity(あいまいさ)
たとえば、新型コロナウイルスのように「いつ、どうなるかわからない変化」や、国と国との関係がからみ合った「複雑な問題」がどんどん出てきていますよね。こうした状況を、「VUCA時代」と呼びます。
VUCAの時代には、わたしたちも、
・変化にすばやく対応する力(アジリティ)
・いくつもの未来を考える力(シナリオ・プランニング)
・まわりの人としっかり話し合う力(コミュニケーション)
などがとても大切になります。
そして何より、新しいことを学び続けることが、生きるための力になるんです。
TUNA(トゥナ)ってなに?
予測不能な新しい事態に備える
TUNA(トゥナ)は、オックスフォード大学の研究者たちが提案した言葉で、これまでのやり方が通用しない、新しい時代にどう考えて行動するかを伝えるキーワードです。
TUNAは、次の4つの英語の頭文字を組み合わせた言葉です。
T:Turbulence(激動)
U:Uncertainty(不確実性)
N:Novelty(新しさ)
A:Ambiguity(あいまいさ)
TUNAは、VUCAの考え方をベースに、現代の状況をより的確に捉えようとした言葉です。VUCAの「V:変動性」を「T:激動」に、「C:複雑性」を「N:新しさ」に置き換えるなど、変化の質の違いを強調しています。
たとえば、AIのようなすごい技術が急に広まって、社会のルールや「当たり前」がガラッと変わってしまうことがありますよね。そんなとき、「これまでの経験が使えない」「どうすればいいのかわからない」と感じることがあるかもしれません。
TUNAの時代には、むかしの成功パターンにたよらず、新しい視点で未来を考えることが大切です。
「頭ではわかっても、気持ちがついていかない……」
そんな不安やとまどいが広がる、今の時代をあらわす言葉でもあるんです。
BANI(バニ)ってなに?
もろくて不安な、壊れやすい社会を表す言葉
BANI(バニ)は、未来学者のジャメイン・カシオさんが提案した言葉です。現代社会の「もろさ」や、それによって生まれる「不安な気持ち」に注目しています。
BANIも、次の4つの英語の頭文字からできています。
B:Brittle(もろさ)
A:Anxious(不安)
N:Nonlinear(非線形性、直線的じゃない)
I:Incomprehensible(理解できない)
たとえば、パンデミックで世界中の物流がストップしたり、SNSでウソの情報がひろがって、何が本当かわからなくなったりすることがありますよね。
「社会の仕組みがちょっとしたことで止まってしまう」
「不安が大きくなって、みんなが疑ってしまう」
こうした、一歩先が読めない“こわれやすい時代”の空気感を、BANIという言葉が伝えているのです。
VUCA・TUNA・BANIの違いって?
これら3つの言葉は、どれも「これからの社会はむずかしくなるかもしれない」という共通点がありますが、ちょっとずつ注目しているポイントがちがいます。
視点 | VUCA ブーカ | TUNA トゥナ | BANI バニ |
生まれたきっかけ | 冷戦後の軍事戦略 | VUCAをもとにして、新しい変化の質に注目 | より深い不安や社会のもろさに注目 |
だれが言い出したの? | アメリカの軍隊の人たち | オックスフォード大学の研究者たち | 未来学者のジャメイン・カシオ氏 |
キーワード | 変動性 不確実性 複雑性 あいまいさ | 激動 不確実性 新しさ あいまいさ | もろさ 不安 非直線性 理解困難 |
どんな時代? | 変化が多く、未来を予測しづらい時代 | 新しすぎて常識が通じない混乱の時代 | もろくて壊れやすく、不安が広がる時代 |
たとえば、ニュースでいうと? | 新型コロナウイルスが急に広がって、マスクして学校に行くようになった | AIが一気に広まって、職業や学校の勉強のやり方が変わってきた | 大地震で電気もネットも止まり、デマ情報が広がって人々が混乱した |

未来を生き抜くために必要な5つの力
「じゃあ、そんな時代にどう立ち向かえばいいの?」
今の社会はどんどん変わっていて、「これから、どうなっちゃうんだろう?」って思うこともありますよね。でも、そんな時代を力強く生きていくためのヒントがあるんです。
それが「フューチャーズ・リテラシー」という考え方。未来を“予想”するんじゃなくて、未来を想像しながら、「今」をよりよく生きていく力のことです。
では、未来を生き抜くためには、どんな力が必要なのでしょうか?
①変化に対応する力(柔軟性)
社会やルールがコロコロ変わる時代。「どうしよう…」と立ち止まるのではなく、変化を受け入れて、考え方を切り替えることが大切です。
例:
◎やり方が変わったときに、「それもアリかも」と前向きに動ける
◎クラス替えで知らない子が多くても、新しい人と話してみる気持ちを持つ
②自分で考える力(思考力・判断力)
いろんな情報があふれている今、自分の頭でしっかり考えることがとっても大事です。周りに流されるのではなく、自分の「答え」を見つけよう。
例:
◎インターネットで見たことをすぐに信じるのではなく、自分で調べて考えてみる
◎ニュースで意見が分かれている問題について、両方の意見を聞いた上で自分なりの考えを持つ
③気持ちを伝え合う力(コミュニケーション力・共感力)
困ったときに「困ってる」と言えたり、友達の気持ちに気づいたり。人とつながることが、安心できる未来への第一歩になります。
例:
◎「手伝ってほしい」と伝えたり、「大丈夫?」と相手を気遣う言葉をかけたりできること
◎友達が落ち込んでいるときに、その気持ちに寄り添い、話を聞いてあげられる
④あきらめない力(レジリエンス=心の回復力)
うまくいかなくても、「もう一回やってみよう」と立ち上がる力が未来をひらきます。失敗はダメなことじゃない。次につなげれば、ちゃんと力になります。
例:
◎ミスしても、「次はこうしよう」って気持ちを切り替える
◎部活でうまくいかなくても、くやしさをバネに練習を続ける
⑤学び続ける力(探究心・アップデート力)
「もうわかった」じゃなくて、「もっと知りたい」「まだ知らないことがあるかも」と思えることが、未来をつくる原動力になります。
例:
◎気になることを自分で調べてみる、新しいことに積極的にチャレンジしてみる
◎授業で「おもしろい!」と思ったことを、家でさらに調べてみる
この“むずかしい時代”を、どう生きる?
VUCA・TUNA・BANIの時代は、きっと今までより少し「むずかしい」と感じるかもしれません。でも、「むずかしい=できない」じゃないんです。
この変化の波を乗りこなし、未来を切り拓くためには、「未来を想像する力」や「学び続ける姿勢」がとても大切になってきます。そして、今回紹介したフューチャーズ・リテラシーは、誰でも少しずつ育てていける力です。
私たち一人ひとりの中に、未来を生き抜くためのヒントはきっとありますよ。
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